カナリア

ありふれた毎日が懐かしくなるほど、河原で揺れる花を見つめていた。

春の訪れを感じた虫たちのざわめきが、こちらではないと私を向こうへ押す。

暗くなった道に後ろからカーライトが照らす私1人の影をみてうつむく。

過ぎゆく車と共に動く影、私も闇に溶けたらいい。